【 ご意見ご協力 】
早稲田大学 創造理工学部 建築学科 建築史研究室
准教授(工学博士) 小岩 正樹 様
建築史学・文化財保存
2024年6月 ライカ ジオシステムズ社と弊社スタッフにて早稲田大学 准教授 小岩 正樹 様 ( 創造理工学部 建築学科 建築史研究室 )の調査実習現場である、
東京都墨田区 立花大正民家園・旧小山家住宅に訪問させていただき、学生の調査や実習で使用されている用途や目的などについてお伺いしました。
※ 人物撮影は了承のうえ掲載させていただいております
導入の背景
小岩先生に初めてお会いしたのは約15年前の2009年2月。
弊社のショールームにお越しいただき、屋外測定のために Leica DISTO D5 をご購入いただきました。
Leica DISTOをご使用になる前は、トータルステーションでの現地調査をしていたそうです。
教育としてCAD図面をいちからデータ作成することを目的としており、取ったデータをそのまま使用するわけではなく[ 寸法調整 ]を行うため、
値の調整・編集ができる [ より使い勝手のよい測定機器 ] としてLeica DISTOに着目し長年ご使用いただいております。
機種としては、建物の手が届かない部位の測定、主に屋外で使用されるため、
デジタルポイントファインダー内蔵モデルのDISTO D5/D8/D810touch、そしてS910および3D Distoまで約20台導入いただいております。
しかし、S910以前のモデルで建物の幅を測定するには、多くの制約や限界がありました。(ピタゴラス機能やMIP: Measure in Pictureでの測定)
現在は、空間情報を自由に測定できる Leica DISTO S910 P2P package を現場調査時にご使用いただいております。
2点間距離測定 と 3次元情報 取得(P2P/CADデータ)
現場調査は公共の委託事業に基づき、授業の一環として行われます。その成果物はCADデータです。
作業の流れとしては「1. スケッチ(手書き) ➜ 2. コンベックスやDISTOを使って測定 ➜ 3. 正書 ➜ 4. CADデータ作成」。
最終的なCADデータ作成時には、新築時の本来の(理想的な)数値と考えられる「寸法調整」を行います。
こうして作成したCADデータは、文化財として評価をするための基本資料であり、記録図面になります。
文化財というと近年では、スキャナーを思い浮かべる方も多いと思います。現況データの作成には有効ですが、データの編集時間だけでなく、寸法調整の過程を考えると、手で測ることの延長としての、レーザー距離計の測定結果が、データ作成過程では役立ちます。
DISTOの使い方のノウハウは、毎年、先輩から後輩へ受け継がれています。
※ 手の届かない場所の測定を安全かつ簡単に行える機能がLeica DISTOのP2P測定。2D/3D dxf ファイリングをエクスポートする機能もあります。
新機種 Leica DISTO X6
いままで数種類のDISTOを利用されてきていますので、最新モデル DISTO X6 を試用してもらい、機能面の改良に関するフィードバックをいただきました。
P2P(2点間)測定をする上でS910と異なる点として、X6には横方向の角度センサーが内蔵されていない事です。
P2P測定をするには、横方向の角度センサーが組み込まれたアダプター DST 360-Xに取り付けます。
また、IPSディスプレイ採用により視認性があがり、ジェスチャーによる測定トリガーによってP2P測定の作業性が大きく向上。
いままで、ボタン操作やタッチパネル操作での測定は「レーザーポイントが動く」ことがあったため、手をかざすだけで測定トリガーとなるジェスチャー機能の有効性を体験していただきました。
気になる新機能はこちら>> DISTO X6
写真測量器 Leica BLK3D
現場調査では、巻き尺やP2P測定などの測定ツールを使用するだけでなく、フォトグラメトリのデータも活用されているそうです。
デジカメで撮影した写真から「RealityCapture」で点群データを作成されているとの事でした。
ライカ ジオシステムズ社の写真測量器 BLK3D にも「Image Group」と呼ぶ機能があり、RealityCaptureにインポート、点群データを生成できます。
BLK3Dは、長さの情報があるだけでなく、本体内蔵のセンサー情報を多く持っています。
オーバーラップするように撮影(最大500枚x2/左右カメラ)するだけで簡単に3Dイメージを取得できます。
簡便性と機動力
『 DISTOは、比較的簡易に使用できるため、学生実習調査にて多人数で使用しております。』
『 3Dスキャナーを使用する場合もありますが、取得した後の情報の扱い易さという点には限りがありますので、
その場ですぐに計測値が得られるDISTOのほうが優れている面もあると考えています。』
との嬉しいお言葉をいただきました。
スキャナーやフォトグラメトリも併用しているものの、データの編集が大変なため『 手で測るものの延長 』としてDISTOを有効活用いただいております。
貴重なお時間ありがとうございます!
※ 今回の記事では、教育機関ということもあり全ての機能を使用せず、最終的な成果物であるCADデータの作成を中心に授業が行われております。
【 ご意見ご協力 】
早稲田大学 創造理工学部 建築学科 建築史研究室
准教授(工学博士) 小岩 正樹 様